私は循環器内科医師を志し、自治さいたま医療センターで3年間の修業を受けている身ですが、そのうちの数か月はこのように、循環器とは関係のない総合診療に従事することを義務付けられると聞いていました。誠に失礼な話ですが、当院のことは赴任する1か月前まで全く知りませんでした。私は、卒後臨床研修を終えた直後の1年間は、進むべき専門科を絞り切れなかったため総合診療内科に所属していたこともあり、当院のような地域病院の内科医として従事することにそれほど不安はありませんでした。必要なものは全て揃っているということだったので、ほぼ身一つで6月1日にこの南魚沼に乗り込みました。
働き始めてからの当院の印象は、まずは建物がきれいということでした。それから、お米も含めて検食が美味しかったです。そして、スタッフの方々の心の温かさ、はきはきと仕事する姿がとても印象的でした。そのおかげで、自分のようなよそ者にとっても、協力して働くには非常によい雰囲気を常に提供していただきました。一方、どうしても気がかりだったのが、常勤医不足の問題でした。あふれんばかりの数の患者さんに、あれだけの人数の先生方が日々懸命に対応されている姿には、ただただ頭が下がりますし、今後もそれが続くばかりか負担がより増していくのではないかという不安を抱かざるを得ませんでした。我々短期間の派遣医師や外来診療を任された非常勤医師だけでは、本当に安定した質の保障された医療を提供し続けることは困難かもしれない、そして、現在の常勤医として尽力されている先生方が過労で限界に達してしまう状況だけは避けてほしいと思うにつけ、なるべく早急な常勤医師の確保をただただ願ってやみません。
立場をわきまえないコメントをしてしまい恐縮ですが、南魚沼で過ごした2か月は楽しいことがたくさんありました。特に、6月半ばに開催された蛍の会では、初めてそば打ちを体験し、初めて生の蛍を鑑賞できました。また、2か月間という限定期間、南魚沼という自分には非日常的な場所で過ごす日々は、30歳になる日を当直をしながら迎えたことも相まって、今の自分の人生の目標や立ち位置について振り返り、また着想を得る絶好の機会となりました。
最後になりましたが、仕事をともにしたスタッフの方々ひとりひとりに感謝の意を表したいと思います。至らぬところだらけの自分ではありましたが、本当にお世話になりました。