10月11月の2か月間、後期研修医として研修をさせていただきました。普段は自治医科大学付属さいたま医療センター、さいたま市内の病院で糖尿病・内分泌疾患を専門に診療にあたっています。
新潟に訪れたのは今回が初めてであり、10月の初めに越後湯沢駅からほくほく線に乗り、周囲の山々とのどかな田園風景を眺めながら、南魚沼市民病院に向かったときの気持ちをよく覚えています。ゆったりとしていて、けれど人恋しいような気持ちでしたが、診療が始まると、日々の診療でそのような気持ちはあっという間に消えてしまいました。
初診外来、救急外来、入院、往診と多くの現場を担当させていただきました。外来では専門外来ではあまり出合うことのないcommon diseaseを中心に、各診療科の疾患を垣根なく経験することができ、非常に勉強になりました。また、入院では、当院の強みである往診を生かし、「患者さんの自宅退院」を目指し、診療にあたっていました。記憶に深い患者さんのエピソードになりますが、ある疾患のターミナル期にある方を担当させていただきました。予後は幾ばかりもないと考えられ、ご本人のご希望は長引く入院生活を過ごされ、「最後は帰りたい」という気持ち、ご家族は迎え入れたいが、急変時対応などにご不安が強く、診察に行くにも老々介護で難しいなど、なかなか受け入れることができない状況でありました。患者さん、ご家族、医師、看護師と何度も話し合いを交え、「私たちが訪問診療でバックアップさせていただきます」とお伝えをしたところ、安心され、自宅退院が可能となったことを印象深く覚えています。この方は現在も、自宅で療養を続けられています。私の経験上ではありますが、埼玉ではまだ訪問診療は盛んではなく、同様の体制を整えていくことが、私たちには必要なのではないかと気づかされました。
診療にあたり、上級医の先生方にはいつも丁寧にご指導をいただき、感謝しております。地域医療に対する熱い姿勢から、多くのことを学ばせていただきました。また外来、病棟看護師さんの協力がなければ、こんなにもスムーズに診療が進みませんでした。「先生、これやっておくね!」「先生、これ忘れていない?」など的確なアドバイスとご協力をいただき、どんなに助けられたかわかりません。チーム医療での協力体制の重要性をお教えいただきました。目まぐるしく過ぎてしまった2か月間でありましたが、諸先生方、看護師さんや医療従事者の方々、また事務部長さんを始めとする関係者の皆様、大変お世話になりました。今後の医師としての道筋を見つめなおす大変色濃い経験をさせていただいた2か月間でした。