自治医科大学附属さいたま医療センターから参りました内科医師です。12月から2か月間南魚沼市民病院にて内科医として研修させていただき、様々な事を学ばせていただきました。2か月という短い間ではありますが、以下に2か月間の思い出と、感じたことを書かせていただきます。
11月末日、生活必需品とコタツを車に載せて関越道を新潟方面へ走らせ、関東では快晴でまだ秋の余韻が残っていた空気も北上するにつれて徐々にどんより曇りはじめ、私の不安な気持ちにぴったり合うような景色に変わっていきました。病院に着くころにはすっかり日も落ち、耳の奥を指すような冷たい空気の中、荷物を病院の目の前にあるアパートへ入れ、私の南魚沼での生活がスタートしました。翌日から早速、初診外来、病棟業務をこなしていきました。日々診療し、南魚沼の方々と接していると、その地の医療体制や、人々の性格が見えてきます。私は埼玉県で生まれ育ち、医師になった後もずっとさいたま市内の病院に勤務してきました。さいたま市は人口も多く、大中小の病院、クリニックも数えきれないほどあります。そのためか患者さんは病院を選び、我々医療者も上手くいかないと大きい病院へ、すぐ紹介してしまう事が多いように思います。病院は多いけれども、医療の軸である医師と患者の信頼関係が築きにくい環境だと感じていました。一方で南魚沼ではクリニックも数えるほどしかなく、総合病院に関してはほぼ基幹病院と市民病院のみです。自分が病気を見逃したらその方の人生を大きく変えてしまう可能性が高く、自ずと気が引き締まるような緊張感の中で、日々の診療を行う事が出来ました。南魚沼の方々も、病気で辛いにも関わらず、非常に冷静で、私を頼りにして熱心に説明に耳を傾けていただきました。それだけでなく、我々の業務の忙しさを気遣って頂く事が多かったように感じます。埼玉ではあまり感じたことの無い感覚でした。おそらく、南魚沼の方々には、昔から大雪を耐えてきた我慢強い精神と、他人を思いやる文化を持っているのだと思います。こちらに来て医師と患者の信頼関係の大切さ、お互いを思いやる気持ちを学びました。そういった気持ちの中で日々診療できた事は非常に有意義な2ヵ月間だったと感じています。
最後にお世話になった南魚沼市民病院、ゆきぐに大和病院の全てのスタッフの方々に感謝申し上げます。また少し大きくなったらお手伝いに参りたいと思いますのでよろしくお願いいたします。