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新潟県南魚沼市六日町2643番地1

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~最も印象に残っていることは感冒を診断する難しさ~

~最も印象に残っていることは感冒を診断する難しさ~

自治医科大学附属さいたま医療センター ジュニアレジデント

 1か月間というとても短い期間でしたが南魚沼市民病院で地域医療研修をさせていただきました。
 地域実習が1月の新潟と決まった時には雪は大丈夫だろうか、外来をきちんと行うことができるだろうかなど不安でいっぱいでした。実際に六日町に来てみると今年は暖冬の影響か道路に雪はほとんどなく畑にわずかに残っている程度でした。到着した日はガイダンスなどであっという間に一日が終わり、翌日からついに六日町での仕事が始まりました。初日の外来には慢性的な咳を訴えて来る人が多くいました。そのような患者さんを見るとまず必要な検査は何だろう?と考えてしまう自分がいました。問診を終えて患者さんには一度外で待ってもらい、先生方に検査など相談すると、「その検査を行わなくても、問診で除外ができるよ」ということを教えていただきました。例えば慢性咳嗽の原因が逆流性食道炎だとしたら、すぐにX線やスパイログラムを行うのではなく姿勢や食事で増悪するか、発熱などの経過がなかったかを問診することで疾患を絞り込み、診断に必要な内視鏡検査を行うことができます。きちんと必要性を考え、検査を選ぶことの難しさを学びました。
 あわただしく過ぎる外来、訪問診療など1か月間はあっという間で気が付けばやたらと検査を行うのではなく自分なりに必要な検査を選ぶことができるようになりました。
 そんな中、仕事で最も印象に残っていることは感冒を診断する難しさでした。感冒と一言で言っても熱が中心の人、咳が中心の人、咽頭痛が中心の人など様々な患者さんがいます。バイタルは保たれているか、肺炎や中耳炎にまでなっていないか、患者さん一人ひとりの年齢・背景をふまえ、他の疾患は考えられないかきちんと鑑別を上げそこから感冒であると自信をもって伝えること。そのことがとても難しく、帰宅させた患者さんの状態が悪くなって救急車などで搬送されていないか、実は隠れていた病気があるのではないかと不安を覚えることもありました。初めは不安が強くありましたが外来を重ねるにつれて徐々に自分の外来に自信を持つことができました。それは熱心に指導してくれる指導医の先生、足らないところを的確に教えてくれた看護師さん、そして薬剤の相談に乗ってくれる薬剤師さん、迅速に検査を行ってくれる技師さん、体力や嚥下力が低下しないよう訓練をしてくれるリハビリの方々、皆さんに見守られていたからだと思います。
 南魚沼でお世話になった人達のこと、そして淡く雪化粧をした山の美しさを忘れることは一生ないと思います。素敵な時間と経験を下さり、本当にありがとうございました。

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