2020年12月から2か月間研修させていただきました。南魚沼市民病院での研修は、自治医科大学附属さいたま医療センターの研修プログラムでは「地域医療」に当たります。初期研修の頃にも「地域医療」というものはありましたが、研修病院の近隣のクリニックで研修をさせてもらうというものでした。私の初期研修病院は東京都でしたし、その後に自治医科大学附属さいたま医療センターに来ましたので、東京、埼玉でしか働いたことがありませんでした。そのため、南魚沼市民病院での2か月間は、これまでにない環境での勤務で、なおかつ冬期ということもあり、非常に貴重な研修となりました。
実際に働いてみると、「地域医療」と言っても、南魚沼市民病院での医療が大きく異なる訳ではありませんでした。HCUや透析室を備え、検査科や放射線技師の方々は夜間にも迅速に対応してくださり、かなりのことが南魚沼市民病院内で完結して行えるというのが率直な感想でした。一方で、雪という地域性が医療にまで影響を及ぼすことを実感しました。私が行った12月当初は雪も全くなく、拍子抜けにも近い感覚で甘く考えていましたが、その後に記録的な大雪に見舞われ、関越道の立ち往生など、想像を超える事態となりました。奇しくも、その時に急性心筋梗塞の患者が当院に救急搬送されました。一刻も早い治療が必要な中、高速道路は使えず、大雪で搬送も容易ではないという状況はこれまでに想像したこともありませんでした。また、電車は意外なほど容易に運休し、病院の正面玄関の屋根も雪の重みに耐えられず故障するなど、雪国の大変さを少しでも垣間見ることができたかと思います。
コロナ流行期の研修でしたが、私の研修期間中には幸いにも南魚沼での大きな感染拡大はありませんでした。ニュースでは首都圏ばかりが取り沙汰されますが、医療機関が乱立していない地域でこそ、感染拡大した場合には手に負えなくなるのだろうと感じました。
南魚沼市民病院での研修のおかげで、これまでにない視点で医療を見直すことができました。また今後お世話になることもあるかと思いますが、その時はよろしくお願いします。ありがとうございました。